「The comet hunter tells that it is music.」
そんなことより彗星だ。a comet hunterなのだ俺は今日から。どうしてかって何も無い、思い立ったら何にでもなるのだ。夢か現か微睡みの折、夜の頁を繰る貴女の美しい手の作る美しい影をつるりとくぐって俺の眼球に飛び込んできたのがあの彗星。決して退屈極まりない英国探偵某のような名前ではないまるで歌のような名前のあの彗星が俺の白目がちな中に砂糖水滴る黒曜石(いつもてらてらと硝子光沢)を砕いたので、あの彗星の奴め!と硬い布団を跳ね起きて右手に虫取り網、左手に枕袋をしっかと持って午前2時を闊歩した。あたりは貝殻状に割れた黒曜石がすらりと闇を切り裂いて切り裂いて切り裂いて深夜であるというのにびらびら捲れた暗幕の隙に昼がさも正しいことであるかのようにずっと此処におりますると云いながら実に清々しく笑っている。退屈極まりない英国探偵某が分厚い光学レンズ越しにこの事件に関する重要参考人は生粋の日本人で方目を失った今眼帯を着けている男、(黒目が)つまり貴方(いつもてらてらと硝子光沢)。と云って人差し指を俺に突き刺す。突き刺された俺の胸から迸る血/血/血/...心臓を/とおに/貫かれていた/貴女に/ですから俺は吹き出る血は其の侭にとんだ迷推理だ、この夜に関する切り裂きJackはあの彗星の奴だぼんくらめ手前のような英国紳士は可愛い可愛い幼女のLizzyに40回と41回滅多打ちにされて死んで仕舞えと陽気に歌って斧を振り下ろす。射し入る健やかな昼の光に何やら薄紫をした脳漿だったものが、いいえ薔薇です。と云いながら見事に咲く。俺は咲き誇る薔薇を掻き分けてさあ逃がしはしないぞ其処だと云って虫取り網を振り下ろす。昼の光の中に隠れていた彗星の奴がとうとう俺の枕袋の中に抛り込まれた。深夜三時の闇底にて枕袋を覗き込んで見るにやはり音楽の其れであった。奴の表面にあるcraterのようなものは実に音符で五線譜こそ無いがLigethiやXenakis辺りの書く図面楽譜とそう変わりは無い。どうなのです、この星の音は。と俺が振り返ると貴女は美しい喉を美しく振るわせてそれは美しい声で「無音よ」と答えた。