「燃える森」
熱帯の森が燃えている、
失われてゆく孤高の画家一村の人生と僕の全て
三本の弦を弾いてelephant
tusk削られたお前のアイボリーを悼んでいる
全て黒鍵のような悲哀で炎を抱きしめて夜がベルベットを垂らしている
その手触りに滲みこんでゆく炎の熱、僕の熱だけをここに残す全てにしよう
朝が来る前の藍色に冷めて、だれにも真実を告げない森、それから僕
彼女の翅が溶けてゆくのを見ている、残酷だよ世界は
砂糖を美しい水に落としてビーカーに注ぎアルコールランプで熱する
白紙の恋愛詩の上で形作った透き通る瑪瑙
マシュー・バリーの幻想に遊ぶのが好きで
彼女は鈴を鳴らして空を飛ぶ方法を
いつか僕にも教えてあげると云って飛び立った
サヨナラ、もう此処に戻ってこないのを知っているから森は燃える、僕は燃える
リコリンが巡っている、致死量10gの面持ち
僕の繊維にゆきわたる毒に指先が色を変えてゆく
もうあの人の柔らかさと曲線に触れることが出来ないこの指で
僕は妖精の翅をもぐ、そして妖精なんていないよ、と言い捨てる
妖精の形骸は溶けて黒いインキになって夜を深くしてゆく、森は燃える、僕は燃える
火の手から逃れるために羽根を広げたカナリアは信号燈の色で啼く
赤、青、黄、そのうちどの色で悲しみを訴えていたのかを僕は
僕はいつまでも知ることは無いけれど、でもきっと青だ
揺れるアメジストセージがいつもより青く見えるからきっと、サヨナラ、青い鳥
幸福は生まれることも無く屠られる
爪の間に入り込んだリアルをいつまでも落とせないでいる、サヨナラ、青い鳥
絹を束ねた三本の弦、走る炎の色をelephant
tuskお前はアイボリーの優しさで
掻き鳴らしていて
掻き鳴らしていて
掻き鳴らしていて
森は燃える、僕は燃える、サヨナラ、青い鳥。彼女はきっとお前を夢見ていた。