星と長い平和


手に取る季刊誌の全てに回遊するまぼろしに中てられて
詩人は唇に紫を置く。
安置された紫を、
星や長い平和だと言って歌う夜に立つ煙。を
いつまでも思い出しながら死ぬ為に火を点ける。
燻る、星だ、長い平和だ。我々の時代。
素数を、例えばゴヤの名画を、黒だけの鍵盤を、
好き好んで摂取して酩酊。
囲む円卓の上で銃を廻す。
残された一発に永遠に明かさない恋愛染みた詩を詰め込んで
撃ち抜けたなら、
大音量で



「詩人である我々が果たして人間だったか、
其れは最早胸躍るようなささやかな真実をそれでも内包する宇宙の塵芥に比べてみる、となると
ああもうひたすらにつまらない事象なのだ。
彼が一度でも二足歩行をしたか、また俺が一度でもかたちを成し色を持っていたか。
くだらない。実にくだらないのであるから、
もうマフィアの遊びでもしようと興じる。
詩が人間のみの財産であると思うところの傲慢を我々は
小指、や、フ、と吹きかける吐息で擽ぐる。
笑え!笑え!ああ擽ったい!
腹も心臓も抱えて、縺れるようにくゆる。
そうして、ああ、我々は思慮深い円卓を囲み、
女神の慈愛そのものである椅子の曲線に深々と魂を置き、
燃える黄金色の麦酒を呷りながら、
踊るシガレットの煙を「なんというただの紫!」と讃え、
それから素数や円周率の解やピアノの音などを弄びながら詩という遊戯を愉しむのだ。
舌先にのせる鉛色の固い詩句はまた銃に込める弾丸でもある。
一発を除いてそれらは世界をたちまちに殺す!
死に至る痛覚の、ああ擽ったさったら!
彼と俺のこの円卓の下に、
やあ、もう4程の「世界」が血を流して横たわっている。
これらの死に如何なる単位を与えようか。
次は彼か俺か、それともやはり「世界」か!
空砲の音に
人魚を掠める。」


「詩人である我々が果たして真っ当だったか、
是はアルコール、まさかタールの巡る利き腕かしら。
あまり痙攣が酷いから、さあ喜劇!喜劇を!
喜劇王よ!喜劇を此処に広げて!
いつか夜の砂浜で千切れた是をさも大切そうに抱えてそぞろ歩きもした、となると
ああもうひたすらに木偶だ、木偶なのだ、我々の脚。
まさに棒のように、屈折を忘却した病理に浮腫んでいる。
歩けない、何処にも歩けないのであるから
もう恋愛に寄り添ったりもしようと焦がれる。
追憶の空の焼けた赤が気管を逆流する時に危なく声帯が思い出す歌を
とおりゃんせ、とおりゃんせ
あの娘が欲しい
と名前を伏せる。
昆虫の、ああ、あの飛びきり薄い羽根で切断。脚を切断してバラして蝶番を据付る。
とおりゃんせと歌いまかり通る運動の為に、
屈折が必要だ、屈折が重要なのだ。
やあ紫煙、ゆらゆらとしていないで終にはこの美しい角度に甘んじてみないか。
皮膚に潜り込んでゆく蝶番の為の螺子の、螺旋。
螺旋は恋焦がれる永遠相容れない純金を味噌汁に練成する奇術にならんとして歌うのだから
我々の血中残薬を浄化させるのだ。
ああ皮膚から立ち上り揮発するスミスクラインは
紳士でありながらもはや天使だあね、両性具有の頂に昇りつめて、後光。
愛の産声をあげっちまっている。
鬼が怖いか哀しいか
ではまた歩き出そう。
屈折を、繰り返して筋肉の錆びに、光。
我々がこのように錆びの上に光を懐かしむのは
人魚が散らした雲母片の所為であろうねしかし、
結局中てられちまって
ろくでなしではあるが千鳥ず歩いてゆかあ、喜劇のようなステップで」



円卓の上にはジョーカーを従順に整列させるルールが展開し続ける
電線の上には化粧のクラウンが何人も渡り歩いているだろう、
さながら世界は夜は深度を増した。
火が絶え、また点す。
いつまでも思い出しながら死ぬ為に点火。唇には紫を置いて、指にも滲んで、紫。
燃えているのは
分も決まりも悪い生ではあるが恥ずかしげもなく。
燻る、星だ、長い平和だ。我々の時代。
囲む円卓の上を滑る銃
空砲に
不思議に頁を繰られる季刊誌は、薄っぺらな、詩に関する。
、弾いても
打ち消されない鮮烈なまぼろし
撃ち抜けたなら、
大音量で

愛せよ我々の時代。